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読書感想【黄金の壺】

どうもー。

2時間の待ち時間ができたので、更新しましょう。
まだ春休みで人もほとんどいないんですよねぇ。

朝はデッキ紹介だったので、今度は本の紹介。タグは「読書感想」にしてしまったんですけど、「本紹介」とかにすれば良かったかな。

本日はこの作品。

黄金の壺 (岩波文庫)
黄金の壺 (岩波文庫)
posted with amazlet at 12.04.03
ホフマン
岩波書店
売り上げランキング: 274493


表紙より。
ドイツ・ロマン派の異才ホフマン(1776-1822)自らが会心の作と称した一篇。緑がかった黄金色の小蛇ゼルペンティーナと、純情な大学生アンゼルムスとの不思議な恋の経緯を描きつつ、読者を夢幻と現実の織りなす妖艶な詩の世界へと誘いこんでゆく。初期の作品ではあるが、芸術的完成度も高く、作家の思想と表現力のすべてがここに注ぎこまれている。

ドイツ・ロマン派ホフマン先生の作品。絶版だったのにまた岩波で発行されてます。
ゼルペンティーナかわいい。熱に浮かされたように好きになれます。そしてサブヒロインのヴェロニカはヤンデレかわいい。


以下、感想(ネタバレあり)




・物語。
真面目な神学生のアンゼルムス君が主人公。苦学生っぽいですけど、勤勉で優秀な生徒なので、副校長に気に入られてます。何事も起こらなければ、きっとそのまま出世して宮中顧問官になっていたんでしょう。
ところが、ある日、川辺で美しい声蛇を見かけます。ヒロインのゼルペンティーナです。「え、蛇ってなに?」って感じなんですが、一応喋ります(念話?)。それで、アンゼルムス君はゼルペンティーナに一目惚れします。そこからは熱狂状態で、ふわふわした精神状態になってしまうアンゼルムス君。頭の中はゼルペンティーナ一色。副校長が心配して、仕事を見つけてくれます。
記録管理官のリントホルスト氏のもとで筆写の仕事をするんですが、実はリントホルスト氏はゼルペンティーナのお父様。しかも、霊界から追放されてきたサラマンダーという設定。つまりゼルペンティーナは火の精霊の娘。リントホルスト氏は、霊界に帰るために、娘の婿となるに相応しい人物を探しています。アンゼルムス君はゼルペンティーナへの愛を試されるわけです。
ところで、サブヒロインというべき娘も存在します。副校長の娘のヴェロニカ嬢です。アンゼルムス君を狙っていますが、「将来出世する宮中顧問官アンゼルムス」に恋しているんですね、この娘。蛇に現を抜かすアンゼルムス君を心配していて、魔女の入れ知恵で「蛇(悪魔)にたぶらかされている」と信じて、恋路を邪魔しに来ます。
魔女は魔女で、実はリントホルスト氏と因縁があって、リントホルスト氏がゼルペンティーナに渡した大切な「黄金の壺」を狙っている・・・。
さて、どうなるアンゼルムス。
恋の結果は読んでみてほしいですね。

・かわいい蛇のゼルペンティーナ。
たぶん、「え、蛇がヒロインってなに? 擬人化?」とか思われるでしょう。精霊なので、本体は美しい女性なんですが、終盤まではずっと蛇です。アンゼルムス君が恋するのも蛇形態です。しかし、流石はホフマン先生。ゼルペンティーナが現れるシーンは、幻想表現が美しく、読んでいても恍惚とした状態になります。アンゼルムス君はもちろん熱狂していますが、読者も「ゼルペンティーナが出るシーンは心地よい」ような気持になるはず。ゼルペンティーナが去ると、現実に引き戻される感覚ですが、なんとなくふわふわした気持ちになります。ゼルペンティーナが出るとテンションが上がります。そのうち、読者もゼルペンティーナに魅了されます。

・でもゼルペンティーナって存在するの?
どうなんでしょう。アニメ、ライトノベルならいるんでしょう。ここでの問題は、「黄金の壺」という作品において、「アンゼルムスは妄想に現を抜かして破滅しかけている」って感じのストーリーが続くことです。自分では「ゼルペンティーナはいる」と思っていても、現実に引き戻されると、ただ妄想で時間を無駄にして、人からの信頼がなくなっていく・・・とちょっと危ない橋を渡っているアンゼルムス君。自分にしか見えない存在に恋をするって、周りから見たら、発狂しかけなんですよね。本当に自分にしか見えないだけで、存在するなら物語にはハッピーエンドもあるでしょう。でも、本当に自分の妄想で、最後に現実に引き戻されたら? 何も残らないどころか、下手したら破滅です。ゼルペンティーナの存在を疑いたくもなります。でも、リントホルスト氏に「ゼルペンティーナへの愛を試す」とか言われたら・・・。現実を捨てる覚悟があるかとか聞かれたらどうするんです?
アンゼルムス君が発狂しかけである以上、読者も現実と非現実(妄想?)の危ない橋を一緒に渡ることになります。最後はどうなるんでしょうね。

・ヴェロニカはヤンデレかわいい。
物語では、ヴェロニカはほぼヤンデレ状態です。彼女は、「アンゼルムスは蛇に騙されている」「私が彼を正気に戻してあげなければ」「そのためにも、アンゼルムスに蛇を忘れさせなければ(ついでに、私に惚れさせよう)」「邪魔な蛇は消さなければ」と主人公とヒロインの関係を破滅させようとするヤンデレ娘です。魔女の手伝いをしたり、魔女からもらったマジックアイテムでアンゼルムスの思考からゼルペンティーナを締め出して、恋心を自分に向けさせたりと、魔女に騙されたヤンデレ的ポジション。
上で、「宮中顧問官になるアンゼルムスに恋をしている」と言いましたけど、アンゼルムスのことも好意的に見ていて、「アンゼルムスなら宮中顧問官になって私の夫にふさわしい」という感じでもあります。なので、愛(まだ恋かな)があるんですよね。彼女にとって、ゼルペンティーナは恋敵であり、それ以上に「愛する未来の夫を破滅させようとする悪魔(妄想)」なんですよね。

・ヤンデレ論
ところで、ヴェロニカはヤンデレチックな行動を取りますが、実際にゼルペンティーナがアンゼルムスの妄想であれば、彼女は正ヒロインとなりえるかもしれません。主人公が非現実(妄想・幻想)の立場にいるから、ヴェロニカは悪女にされているわけで、逆の見方では甲斐甲斐しいとも言えます。ゼルペンティーナよりな読者から見れば、ヴェロニカは主人公の恋路を邪魔するヤンデレですが、行動自体は至ってまともとも言えるわけです。
物語でのヴェロニカの役割は、「現実の女性」というところでしょうか。ゼルペンティーナを取るということは、霊界を取るということ。それは非現実や、もう一つの現実としての世界ですむのか、それとも妄想、狂気、ちょっとよく言って詩の世界へ迷い込むということになるのか。詩の世界が狂気の世界でないとは言い切れませんね。

・どっちを取るの?
アンゼルムス君はゼルペンティーナ一択ですね。ゼルペンティーナの登場は読者にとっても心地よい場面ですが、アンゼルムス君はそれ以上に熱狂していて、熱病に浮かされた如くゼルペンティーナを求めます。一歩引いた視点の読者は、時々ちょっかいを出してくるヴェロニカの正論や、「アンゼルムスは狂ってきているのか?」と疑う副校長を見ながら、不安になります。
問題は、この物語が「ファンタジー」なのか「現実」なのかはっきりしないところです。アンゼルムス君の行きつく先はなんなんでしょうね。そして、この「ファンタジー」と「現実」のジャンル分けが微妙であるというこの作品の凄さ。最初からわかっていれば、読者は精神的な不安に苛まれることはないのでしょう。



というわけで、幻想と狂気の境界を感じる作品です。
それでも私はゼルペンティーナがかわいいと思う。別に萌えポイントはないんですけど、惹かれます。
そういえば、さっきからずっと幻想とか非現実とか言っていますが、アンゼルムス君的には「詩の世界」なんですよね。「詩の世界は美しく調和が取れている」とか言いますけど、それが現実逃避でないことを祈りたいですね。
割と薄い本です。岩波文庫ですけど、日本語もやわらかくて、ふわっと読めます。
頭もふわっとしてきて、やかましくて多忙な毎日からちょっと抜け出すことができますよ。

ではでは。



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