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読書感想【パイは小さな秘密を運ぶ】

どうも。

大学もそろそろお盆休み、皆様いかがお過ごしでしょうか。

遊戯王は、バテルを3枚手に入れたので魔導でも組もうと思っていますが、禁止制限改定前というのはデッキ作成の意欲がなくなる時期ですよね。他には、マドルチェやらガガガやらを組もうと思っていたり。ガガガはsinと合わせてみようと思っていますが、sinパラドクス・ドラゴンのデッキも捨てがたくてどうしようかと悩んでいたり。

そんなわけで、遊戯王は一時お休みして、読書感想でも。
というか、読書感想の方が私に向いているのかしらん。

今日はこちら。


パイは小さな秘密を運ぶ (創元推理文庫)
アラン・ブラッドリー
東京創元社
売り上げランキング: 181497


内容紹介
化学と毒物をこよなく愛する11歳の少女フレーヴィアの活躍を、温かいのびやかな筆致で描くシリーズ第1弾。オレンジの切手の秘密とは? CWAデビュー・ダガー受賞作。

内容(「BOOK」データベースより)
11歳のあたしは、イギリスの片田舎で、化学実験に熱中する日々をすごしてる。ある日、何者かがコシギの死体をキッチンの戸口に置いていき、父が尋常ではない恐れを見せた。そして翌日の早朝、あたしは畑で赤毛の男の死に立ち会ってしまう。男は前日の晩に、父と書斎で口論していた相手だった…。活溌な少女の活躍を温かくのびやかな筆致で描く、CWAデビュー・ダガー受賞作。



フレーヴィア・シリーズの第一作です。



以下、感想



○舞台は二次世界大戦後のイギリスの田舎
現代ではなく、戦後まもなくの話。

○主人公フレーヴィア・ド・ルース
化学を愛する少女。一巻では毒物に特にひかれているようですが、全体を通して化学反応全般に興味がある模様。たぶん理系の私よりも詳しい。
本文は彼女の一人称視点で、如何に化学反応にワクワクしているのかが伝わってきます。可愛いよ、フレーヴィア。
しかし、マッドサイエンティスト的な化学少女ではなくて、やや斜に構えていて、皮肉と嘘が得意です。自称「嘘の達人」ですから、他人の嘘もすぐに見抜きます。様々な局面を、機転の利いた嘘で乗り越えながら情報収集していくのがこの作品の面白さの一つ。「何かが欲しければ本音を言うな」。

本文より――
「表のドアに鍵がかかっていたから、入れなかったの」
「そりゃ、鍵はかかってるよ。日曜日にはいつもね。わたしゃ、昼寝をしていたところだよ」
 あたし、がっくりした顔になったに違いない。
「どうしたのさ? バックショー荘であんな恐ろしいことがあったからかい?」
 それじゃ、彼女はあのことを知ってるんだ。
「あんた、現場に立ち入らないだけの分別はあったんだろうね……」
「ええ、もちろんよ、クールさん」あたしは残念そうに微笑んだ。「でも、その話はしないように言われてるの。わかるでしょ」
 それは嘘。でも第一級の嘘だった。
「なんていい子なんだろう」クールさんは言い、彼女の庭を見下ろす隣家の、カーテンの閉まった窓をちらりと見上げた。「ここで話すのもなんだから、なかに入ったほうがいいよ」


○文章はフレーヴィアの一人称視点
既に述べましたが、フレーヴィアの一人称視点です。場面が飛んで、神の視点が入ることはありません。
殺人事件が発生したりしますが、すべてフレーヴィアが調査することで情報を仕入れていきます。コナン君と違って、フレーヴィアの思考プロセスが丁寧に織り込まれるので、一緒に迷ったり、考えたりしていきます。
実際の台詞でのフレーヴィアのかわいらしさと、文章での心の声での腹黒さに萌えます。可愛いよ、フレーヴィア。

○化学大好きフレーヴィア
フレーヴィアは裕福な家庭の三女です。父親はド・ルース大佐と呼ばれています。祖父が残した化学実験室があり、誰にも使われなくなったその部屋で、フレーヴィアは知的好奇心を満たしています。
銀鏡反応でニヤニヤしたり、ミセルコロイドに心惹かれたり、11歳にはふつうありえない知識ですが、11歳ならではの「見た目の変化」に興奮する可愛い少女です。
時には好奇心が強すぎて、母親の形見のブローチを溶かして貴金属を回収したりして大目玉を喰らったりしますが。
意地悪な二人の姉への仕返しは、常に化学力に頼ります。化学の力で間接的に炎症を引き起こしたり、結構ひどいことをしますが、それも11歳ならではでしょうか?

本文より――
 そうして、安全なあたしの至聖所、聖所の中の聖所――トーマス・ジェファーソンの伝記の中でこのすてきな言い回しに出会って、自分でも使っている――で、あたしは色鮮やかな葉っぱをガラスの蒸溜器(レトルト)に詰めた。用心して手袋ははめたまま、ついにつやつやした葉っぱを無事に詰め終えた。さあ、これからがあたしのお楽しみ。
 レトルトに栓をして、片側を熱湯の入っているフラスコにつなぎ、反対側をコイル状のガラスの凝縮チューブにつなぐ。チューブのあいている端は、空っぽのビーカーの上につるしてある。熱湯がぐらぐらと泡立つと、水蒸気がチューブを通り、レトルトの葉っぱのあいだに入っていく。すでに葉っぱは丸まり、柔らかくなりかけている。熱い蒸気が細胞のあいだの小さな空洞を開かせ、生きている植物の精髄とも言うべきオイルを放出させているんだ。
 これは、昔の錬金術師が腕を振るっていた方法。炎と蒸気、蒸気と炎。蒸留だ。
 この作業、大好き。
 蒸留。声に出して言ってみた。「じょう・りゅう!」

○意地悪な二人の姉
オフィーリアとダフネという二人の姉がいますが、何故かフレーヴィアは嫌われています。実際に嫌いなのかはまだわかりませんが、何かと苛められます。嫌なキャラかと思いきや、割と愛嬌があってキャラも立っています。
フレーヴィアは二人の物理的な苛めに耐えながら、どんな方法で仕返しをしてやろうかと考えるあたりかなり強かです。可愛いよ、フレーヴィア。

本文より――
「あんた、叱られるかもよ」そう言いながらフィーリーは、ぱたんと鍵盤の蓋を閉めた。「一日じゅう、どこに行ってたの?」
「お姉ちゃんの知ったことじゃないわ。あたし、お姉ちゃんの小間使いじゃないもん」
「みんなが探してたのよ。ダフィとあたし、きっと家出したんだわって、みんなに教えてあげたんだけど、どうやらそんなひどい幸運にはならなかったみたいね」
「それは“ひどい”のひどく下手な使い方よ……お姉ちゃんは使わない方がいい。それに、ほっぺをそんなふうにふくらませないほうがいいわ。怒りっぽい洋梨みたいに見えるから。お父さんはどこ?」
 しらばっくれた。
「一日中、顔を見せていないの」ダフィが言った。「今朝のできごとで動揺しているのかしらね?」


○切手収集狂の父
お父さんはちょっと変わった人です。切手集めが好きで、ややコミュ障ぎみ。娘たちへの愛はありますが、何かと現実から逃避して切手収集をしてしまいます。奥様を亡くして以来、この傾向は激しくなったとか。
「パイは小さな秘密を運ぶ」では、この切手が重要なアイテムとなります。
ご存知のことと思いますが、一部の切手は非常に高価なのです。

○今は亡き母
フレーヴィアが生まれてから、物心つく前に亡くなっています。11歳のフレーヴィアは常に母のことが気になっていて、屋敷の中や父の話に母の面影を探してしまいます。オフィーリアとダフネには、母を知らないということで「あんたは本当はお母さんの子じゃない」とか精神的な揺さぶりをかけられたり。
話したことも無いが故に、フレーヴィアの心の大部分を占めている大きな存在で、要所要所に母のストーリーが展開されたりします。

○相棒グラディス
自転車です。フレーヴィアはグラディスとともに、作者の箱庭ビショップス・レーシーを駆け回り、独自に事件の捜査をします。グラディスと1人会話したり、本当に可愛い。

○切手と殺人事件
萌える少女を愛でる話かと思いきや、殺人事件が発生します。
死体の第一発見者はフレーヴィア。場所は彼女の家、バックショー荘です。

本文より――
 ふっと奇妙なにおいがして、あたしの鼻孔は反射的に閉まった――なんのにおいなのか、思いだせそうで思いだせなかった。
 陶磁器に描かれた柳模様のなかの小鳥のように青い目が、あたしの目を見上げた。ほの暗いくすんだ過去から見つめるかのように、目の奥で何かがわかったと言わんばかりに。
 すぐに目から生気が消えた。
 胸が締め付けられたと言いたいところだけど、そんなことはなかった。本能的に逃げたくなったと言えたらいいんだけど、そんなことを言ったら嘘になる。実際には畏敬の念に打たれて見守りながら、細かい点まですっかり見てとった。ぴくぴく動いている指、肌に浮かんだほとんどわからないほどの青銅色のメタリックな翳り。まるであたしの目の前で、死に神に息を吹きかけられたみたいに。
 そのあと、微動だにしなくなった。
 怖かった、と言いたいところだけれど、怖くはなかった。正反対。生まれてこのかた、こんなに興味をそそられたことはなかった。


○ヒューイット警部
ホームズでいうところのレストレイド警部。しかし、たぶんレストレイド警部よりは頼りになります。脇役でも助手でもなく、どちらかというと、仲良くなりたいライバル。
フレーヴィアは彼に認めてもらいたくて独自に捜査して、その知見を披露します。ヒューイット警部はそれに驚き、参考にしたり、感謝したりはしますが、フレーヴィアが欲しい「一緒に捜査しよう」は絶対に言ってくれません。まぁ、当然ですけど。
結局、フレーヴィアはヒューイット警部に近づいたり、独自に捜査したりします。紳士なヒューイット警部はフレーヴィアから上手く情報を引き出したり、たまに助けてあげたりします。

○庭師のドガー
バックショー荘には庭師が住み込んでいます。フレーヴィアの最大の理解者、好青年ドガー。無口な執事のような役で、フレーヴィアをお嬢さんと呼び、いつも彼女の為に動いてくれます。戦場のトラウマがあって、時々おかしくなりますが、フレーヴィアと支えあっているバックショー荘の良心。

○安楽椅子探偵ではなく、冒険活劇
フレーヴィアは、椅子に座って煙草を吸いながら、聞いた情報から犯人を推測するようなどこぞの麻薬中毒とは違って、愛車グラディスで箱庭を颯爽と駆け抜け、得意の嘘を駆使して登場人物から情報を集めていくタイプの探偵です。
常にフレーヴィアが走り回っているので、冒険的なストーリーです。

○アニメ化しないかな・・・
これ、アニメ化できる要素満載だと思うんですよね。ライトノベルだったらアニメ化していそう。フレーヴィアが非常に魅力的なキャラクターなんですよ。



○まとめ
上に挙げた本文で、少しでも「フレーヴィアかわいいな」と思ったあなた、読んでみて損はないです。よくブックオフで見かけるので、試しに読んでみてはいかがでしょうか。
現在、2巻「人形遣いと絞首台」、3巻「水晶玉は嘘をつく?」が発売されています。毎年11月に新刊が出ますよ。
今のところ、3巻までで「あー、ダメになったな」と思うことはないです。毎年フレーヴィアは可愛いのです。
2巻、3巻は「冒険」の方が強い印象を受けましたが、1巻は事件の謎が結構複雑に入り乱れていて、フレーヴィアと奮闘するのが楽しいですよ。

是非。
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